電脳迷宮

<22回目>グループ・メディア

地域コミュニティーに楽しさが

■「日本に見習え」
電脳迷宮って、迷うことばかり。
とにかく毎日新しいことが起こってるし、いろんな人が迷い込む。
先週はマレーシアの政府中堅幹部の方々二十二名が、「ルック・イースト、日本に見習え」とばかりにコアラメンバーの集まる月例会にやってきた。なにしろMSC(マルチメディア・スーパー・コリドー)構想というメガプロジェクトを抱える国だけに、実際に市民がネットワークを使うとどうなるか気になったのだろう。
「企業がホームページでいろいろ発表しても、その内容が正しいかどうかわからないのではないのか?」「ネティズンは個人の満足度を優先すると言うが、収入アップとの関係は?」「えー、フィアンセをネットワークで見つけたの?」と、まさに電脳迷宮に 第一歩を踏み込んでしまったがゆえの質問が、ポロポロと出てきてた。
そのマレーシアから三月末にはマハティール首相が福岡にやってくるが、その講演は我々もお手伝いしてインターネットにライブでビデオ中継することになっている。

■中数の人たちで
ライブ中継ってのはまさにマスメディア的要素ですよね。コアラのホームページは、ライブあり、毎日更新されるものあり、週がわりで新しく出るもの(電脳迷宮も毎週掲載)、月ごとのものと、まさに一対多数への情報発信であるマスメディア色いっぱい。
でも、何かが違う、と、思われるようで、そうね、発信者側に、プロでない市民の誰もがなれるってことで「一人でこそこそとやってたらそれが多くの人から見られてた、うれしいっ、ヤッターって気持ち」を育て、結果的にビジネスではないマスメディアが 増えてきている感じ。
さらにはその発信が面白いとそれに触発されてレスポンスが出てくるし、レスポンスが重なって電子会議での意見交換やコミュニケーションに発展。そこでは多数(マス)の人というより中数(グループ)の人たちがコミュニケーションするグループ・メディ アとなっているんですね。

■メディアが融合 
つまりは、電子メールのようなパーソナル・メディアとマスメディア、グループメディアの三つのメディアの融合の中に未来があり、そこに至る道は迷うほどいっぱいあるってことかな。
ただ言えるのは、この新メディアはうまく組み立てればきっちりと「市民が主人公、読む側が主人公、地域が主人公」になるはずのもので、どうあってもそれを実現したいってのがコアラメンバーの主張のようです。

■東京中心でなく
ともすれば新しいことは東京から提案され、マスメディア的に東京から地方がマーケットとしてのみ扱われつつ、東京中心の電子ネットワークを押しつけられてしまう。
コアラメンバーは、自分たちが単なるビジネス・マーケットの対象としてのみ見られることに首をかしげつつ、互いが、顔も意思もある市民として認めあうコミュニティー、皆が主人公である地域コミュニティーの中にこそ、楽しさやうれしさ、未来へのビジョ ンが見いだされる、ってことを実感しているんでしょう。そのためのライブであり、デイリー、ウイークリー、マンスリーの発信にしたいもんです。
コアラの福岡メンバーが増えてることもあって、東京からの全国ネットに対抗して(?)地域の電子コミュニティーをはぐくむべく、三月十四日、コアラ福岡事務所開設準備室をオープン予定。ますます電脳迷宮は複雑さを増して膨らむばかり。

(ニューコアラ事務局長・尾野徹)

※ 掲載内容はコンテンツ制作当時の情報です。