<19回目>マレーシア
ゴムから一気に脱皮中
■世界中から注目
昨年末、マレーシアに行ってきました。
うわさには聞いてたけれど、高層ビルがじゃんじゃん建設されているし、ホテルも次々とオープンしているようで、すごい活気がある。
来年、英連邦のスポーツ大会がアジアで初の大会としてクアラルンプールで行われるとのこと。元イギリス植民地だったということもあって、誇りを感じつつ張り切っている。それが建設のみならず、さまざまなところの活気になっているようです。
行くことになったきっかけは、昨秋に福岡で行われた“アジア九州地域交流サミット”で、「今後はマルチメディアの交流をしよう、実務者会議も含めて」と提案があったこと。
なにしろ、次回開催地はマレーシアであるし、今やマレーシアといえば超大規模で型破りのマルチメディア開発構想で世界中から注目されているところ。ならばこの際、われわれ市民レベルとしても実状を知りたい、と、出ていったんです。
■いずれは遷都も
確かに彼らの構想は大きくって、十五㌔×四十㌔の地域をマルチメディア特別区にして「サイバー法」を設けて企業誘致を行い、新産業を興そう、いずれは遷都も、というもの。
その南側は一九九八年開港予定の大型の国際空港があるし、最北側は現在の首都クアランプールの世界一のノッポ・ツイン・ビル(九七年完成予定)というランドマークがあって、とても分かりやすい。マハティール首相はこれらをMSC構想(マルチ
メディア・スーパー・コリドー)と呼んでいるようです。
実は、私たちが行った一週間ほど前に沖縄の太田知事も「マルチメディア特区」の調査に来たとか。そして九州国際空港を考える福岡グループも、未来を考えるために調べに来たほどなんですね。
■実行力を買われ
で、これらの国家事業を押し進めているのは国策会社のマルチメディア開発公社で、そこのオスマン総裁に会ってきました。
もの静かな中にもきっちりとしたビジネスマンの雰囲気。でも、実際は政治家としての力量がすごい方らしく、その実行力を買われてマハティール首相から国家の大計、MSCを任されている、と、聞きました。
そういえば彼のいるビルは、マレーシアの今までを支えてきた一次産業、つまり天然ゴムのことを司ってきた建物のよう。最上階の彼の部屋の前はゴムの木から実際のゴム製品が出来るまでをパネル展示してて、その前に急造とも見える「マルチメディ
ア開発公社」の看板が掲げられている。
■意気込みを表す
一次産業時代から一気に最先端マルチメディア産業へ脱皮しようという、マレーシアの意気込みを象徴的に表してる感じ。
彼はわれわれの訪問をとても喜んでくれて、九州とアジアの地域がマルチメディアを題材に集まるのはとても素晴らしいことだ、ぜひともやろう、なんならランカウイ島(素敵なリゾート地ですって!)で準備会でもやったら? って逆に言ったほど。
この、マハティール首相を中心とする未来へのしっかりしたマルチメディア・ビジョンがあるからこそのエネルギーであり、アメリカや日本の企業がこぞって巻き込まれていく理由が分かってくる。
われわれも負けずに未来をリードする九州情報軸ビジョンをつくって互いが結ばれていくといいのにな。当分、目が離せない。
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