電脳迷宮

<16回目>忘新年会

世界中に中継しちゃった

■オフ会も花盛り
暮れから正月にかけて忙しかったり暇だったり、やっぱりネットワークの中もふだんとは違いました。
まずは、常連の何人かは音沙汰なし。きっと里帰りや長期バケーションでパソコンの電源を落としているんでしょうねぇ、ちょっとうらやましかったりして。
反面、長期休暇だからこそ楽しもう、と、オフ会(ネット上でなく実際に顔と顔を合わせた会合)も花盛り。あっちこっちで飲み会やスキーツアーの話しが出てて、その方向の人たちは大忙し。
では、と、暮れも差し迫った十二月三十日の夜、コアラ事務局主催で忘年会を行ったんです。家の掃除から抜け出したい一心かもしれないが、これがよく集まるんですねぇ。軽い告知にもかかわらず六十人ほどがやってきた。もちろん、この時期とばかり東京か らのUターン者もいる。


■未来型の商店街 場所は大分市のアーケード街セントポルタ中央町にあるイタリア料理店。実は、ここのアーケードは四月にリニューアルオープンしたばかりで、マルチメディアやインターネット対応のすごいものなんです。
四百㍍のアーケード内を光ファイバーが張り巡らされてて、NTTマルチメディア実験用の六Mbpsという高速インターネットが使いたい放題の未来型商店街。
通りには、丸っこいインターネット公衆端末が二台設置されてて誰でも自由に使えます。さらには、そのウチの一台は、大型九面マルチスクリーンに直結していてネットサーフィンの内容が皆で観賞できるようにもなっている。

■時代はネティズン
それだけじゃありません、アーケード上部にはカメラがあって、世界中のパソコンからインターネットを通してそのカメラの映像を生で見ることさえできる。
だから、商店街の人たちがその気になればその光ファイバーのループから「情報コンセント」としてインターネットを自由にお店に引き込めてしまう。すごく恵まれている。 今回はそれをイタリアンレストランに持ってきて、そこから忘年会の模様をリアルタ イムビデオ映像で世界中に流しちゃった。残念ながら東京のメンバーしか見てなかったようですが。
もう、私的レベルの忘年会さえ地球規模で実況中継できるなんて本当にメディア観が変わってきてしまいますよね。つまり時代は個人の時代、ネティズンの時代に確実に突き進んでいることをココでも思い知る感じ。

■人を集める道具
で、日ごろ電子メールや電子会議で気心知り合っている年齢・学歴・職業・性別いっさい不問の不思議なグループはとっても盛り上がったことは言うまでもありません。 では、と、一日置いて元旦。
コアラ事務局の近くには大分市で最も初詣の多い春日神社がありますが、その帰りに自由に寄りあってさっそく新年会。メンバーのヒュージョンバンドの素敵な音楽を聞きながら、皆でお好み焼き・たこ焼き・クレープをつくりつつ、手作り薫製もあったな。
おとそにワインもあって。もちろんインターネットは使いたい放題。
聞きつけて何事か? と、初めての顔ぶれもいます。家族連れも多かったな。なんだかインターネットって人を呼び寄せ、集める道具のようですね。九七年はこうやって始まったんです。

(ニューコアラ事務局長・尾野徹)

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