電脳迷宮

<13回目>女性進出

相性の良さ感じる時代に

 ■支援のツールに
秋は情報化の行事が盛りだくさん。この十一月は、東京で行われた高齢者を対象とした「メロウフォーラム」と、横浜市で行われた「女性のためのネットワーキング・フェア」にパネリストとして出てきた。
いわば、両方ともに社会的弱者ととらえられがちのグループですが、インターネットやパソコン通信がそういった方々への心強い支援ツールであることをうかがわせる行事でした。
さて、その「女性のための」の方ですが、行ってみれば当然ながら会場は女性ばっかり。それも、自らが使いこなそうとする当事者として、けっこう若い女性が多い。インターネットの普及の勢い、裾野の大きく広がる感触を抱かせる。

■介護者も求める
ああ、もちろんパネリストも、私を除けば女性ばっかり。パソコン通信で短歌を題材にした電子会議を主催している歌人の俵万智さん、翻訳を主体とする会社(ユニカインターナショナル)の社長で、テレビキャスターでもある佐々木かをりさん、横浜 青年会議所の昨年度の理事長だった山口弥生さん、横浜市の女性計画推進室長の山口和子さんと、バリバリに活躍する女性ばっかり。
そういえば、事務局で事前の連絡をしてくれた若い女性の服部栄さんは「尾野さん、介護で会社を辞める人の九割が女性なんですよ、知ってましたか? ネットワークはそういった女性たちを救ってくれるように思えて」と、にこやかに話してくれたっ け。なるほど、高齢者だけでなく、介護者もが社会的に弱い立場としてネットワークを求めてる。
当然、「なぜ、男のオマエがそこに出てるのか?」と質問したくなるでしょうが、コアラには元気な女性が多いので、それを紹介してほしいということでしょうか。
■「結婚に発展」も
コアラの女性を見ていると独身期間、若い妻としての立場、子育て初期、その最中、子離れ期、と、それぞれに使い勝手があるようで、独身期ではもちろんネットで知り合って結婚に発展したりすることもある。
俵さんも言っていたが「文字だけで知り合って結婚に発展するなんて最初は不思議に思ってたが、文字ってその人間の性格や人となりなど、真実がじゃんじゃん出てくるようですね」。それはその通りなんです。電話や実際に会っての会話では黙ってう なずくことも、「アー」「ウー」とうなることもそれなりに意味を持つでしょうが、文字主体だと、主語、述語、目的語がはっきりしないと意味をなさないことが多い。 従って単語数が少なくても割合中身のある意味の濃い会話であるし、それを一日一 回ずつ繰り返し、一年立てば相当の分かり合ったグループになるんです。
コアラでもそういった結婚がずいぶん前に起こりました。「日本で初めてのネットワーク結婚だ」とマスメディアに大きく何度も取り上げられたことを思い出します。

■SOHOを実現
しかし今回は、当時のパソコン通信だけでなくてインターネットをも手にした女性たち、ずいぶんたくましくなったように思います。何よりも、ビジネス面でも利用しようとしている。今いる職場で男性に負けない(?)仕事力を持つことのみならず (服部さんの私への事務連絡はほとんど電子メールでだった)、自らが起業するチャンスをも探せるんですね。
インターネットで世界中のサーバーをデータベースとして使いこなし、さまざまな方々へ電子メールでビジネスコミュニケーションを実践。出産や育児という“足かせ”があっても、そういった仕事ぶりで自らの会社を切り盛りする佐々木さんはその好例。 コアラの中でもそういった女性たちがいて、自分の仕事に関連して特定の話題で互いにメールを出し合うメーリングリストまで主宰したり、今流行のSOHO(スモールオフィス、ホームオフィス)を実現している若い女性も出現。
まさに女性と電子ネットワークの相性の良さを一段と感じる時代になってきた。

(ニューコアラ事務局長・尾野徹)

※ 掲載内容はコンテンツ制作当時の情報です。