電脳迷宮

<12回目>カフェ(下)

猫に負けた?ネット美人

 ■スタジオがある
コアラはインターネット上にTV放送のように毎週三十分のテレビ番組をつくって流しているんです。番組の名前は「カフェコアラ」。
コアラ事務局にあるスタジオ(スタジオを持つネット局って世の中まずないでしょう?!)に毎週の月曜十九時三十分から“開店”。ウェイトレスさん二人に常連客の私もいますが、コアラメンバーやメンバー外の方々も“来店”してます。
ウェイトレスさんや私たち、ふだんから小型のディジタルビデオカメラを持ち歩き、面白い、と思ったものをそのままビデオでレポート。
ほかに、インターネットに造詣の深い方々をインタビューして紹介したり、スタジオでコアラメンバーと対談したり、という番組。リアルタイムの放送だけでなく、翌日にはビデオ・オン・ディマンドになって、いつでも見れるようにもなってます。

■お見合い写真?
そのウェイトレスさんは、前回紹介したOL山崎佐和子さんと、歯科技工士の帆足美佐子さんですが、今回はその帆足さんの話。
山崎さんと、彼女は十代のときからワープロでパソコン通信をしていたのですが、なかなかインターネットには手を出さない。理由はカンタン。「既にパソコン通信でこんなに楽しいのに!」
しかし、マルチメディアパソコンを持っていた佐和子さんがホームページを持つに至り、ついに決心。お父さんのパソコンをいつの間にやら取り上げちゃって、カッコ良く自分のホームページをつくっちゃった。
それも着物を着た写真を前面に押し出したものですから、多くの男性からメールの山。「お見合い写真」と思った人もいたのじゃないかな?

■ファンがついた
彼女は、「ふぅ~ん、世の中に個人で情報発信するとこんなに反応があるんだ」と驚いたようで、では、と、現実の歯科技工士という自分だけでなく「こうあったらいいな」という自分のバーチャルな側面をも表現し始めたんですね。
さすれば彼女にファンがついちゃって、NHK衛星放送の「ネット・ビューティ・コンテスト」に勝手に登録されてしまったことがあったんです。
冗談的な企画らしく惜しくも(?)ネコ(そう、動物の猫です)に初代ビューティの座は渡したのですが、他を押さえてダントツの二位です。結果的に「猫に負けたネットビューティ」でまたまた有名(?)になっちゃった。
こういったことを経験するうちに、ホームページを個人の情報発信の「発言」と考えるならば電子メールを「レスポンス」とする新しいネットコミュニティーを創り出したようで、日本中、海外も含めて友達が出来てしまった。

■招かれて講演も
そういったこういったで、先日は歯科技工士会の全国の会議で東京に招かれて講演してしまうほどに。
歯科技工士会の会長さんをはじめとする多くの先輩方にネティズン(ネットワーク市民)の素晴らしさを、二十代のうら若き女性が自らの体験談として話したんです。 当然好評で、一度、やれば、またお願いします、って話になって、おひざ元の彼女 の所属する医院の先生もビックリではないかしら?
今夏、彼女の部屋には「情報コンセント」が敷設されたんです。これは大分のマルチメディア実験の一環で用意したインターネット専用線なのですが、きっと、情報コンセントが当たり前になる近未来、彼女のような元気な若い女性たちがいっぱいにな るんでしょうね、楽しみ、楽しみ。

(ニューコアラ事務局長・尾野徹)

※ 掲載内容はコンテンツ制作当時の情報です。