電脳迷宮

<8回目>ネット観光

原点はやっぱり、人見るだけ、で終わらない

■宇宙旅行だって
観光とインターネットは相性がいい。
ビギナーが最初に望むことは、写真や絵が扱えるマルチメディアに期待して、簡単には行けぬ遠くの異国旅情を楽しむこと。つまり、仮想旅行。場合によってはNASAのホームページから宇宙旅行だって楽しめる。
見るだけじゃない。先日の私の急なニューヨーク行きのホテル探しに、ホームページ検索が大いに役立ってくれたことも事実だし。ということは、九州外や国外からわれわれの地域を観光される方々も同じように感じてるかもしれない。
実はコアラでも、自治体がらみのインターネット利用はやっぱり観光からだったんです。平成七年四月に別府の国際会議場がビーコンプラザという名称で新築オープンしましたが、その国際会議第一号が情報関連の標準化に関するもの。

■遠隔でサル観察
参加者はインターネットを利用することが当たり前の方々だったんですね。で、日本側会議開催事務局の要望で、その準備に奔走することになったビーコンプラザは「会議開催前から、来られる方々のために別府を紹介しよう」と、観光地らしく別府観光のホームページ集を作ったんです。これが大当たり。
ついでに会議開催事務局も事前の会議内容告知をコアラで行ったんです。世界各地からの参加者はインターネットで“よく知っている”別府を、会議中の三日間大いに楽しんだという次第。
その好評さに気をよくしたビーコン側も、コアラが別府湾を一望できる遠隔操縦カメラを屋上に取り付けることに大賛成。世界中から別府湾の日の出や別府温泉の湯煙を、リアルタイムで自分の操作で見れるなんて、ますます観光に来た気になりません? じゃ、次はおサルの高崎山にカメラを取り付けてみようって盛り上がっているんです。近々「ただいま何匹」って自分の目で楽しめるようになるんです。

■二次会の設定も
こんな気運があれば、観光の町、別府のホテルの人たちも「じゃウチもやってみよう」って気になりますよね。旅館組合の青年部が集まってホテル検索システムができちゃったし、クラブやスナックの検索システムまである。料金やカラオケ有無、収容人数などで検索できるんで、別府に来る前から二次会の設定ができますよ、幹事さん。 インターネット対応型のホテルだってできてて、ご自由にインターネットをお使い下さい、ということから、会議室や宿泊部屋にインターネットの線がはわせてあるところもあります。
もちろん、メールでホテル経営者とやりとりできるのですが、予約の話よりも「地獄めぐり」や「一村一品料理」のことなど、聞かれるままにお答えしつつ、個人的なコミュニケーションっぽくなることの方が多いとか。いいじゃないですか、観光の原点は人ですからね。。

■交流に発展した
写真や映像でバーチャル観光をおおいに楽しんでもらったにしても、それよりも、コミュニケーションができあがった相手がいれば「じゃちょっと行きます」ってなことになるのが人の常。現に「どうせ泊るなら大分市のビジネスホテルでなくて、インタ ーネットで知り合った別府のホテルに」というビジネス客まで出てきてるじゃないですか。そして観光も楽しんでしまう。
インターネットは使いこなせば使いこなすほど、人恋しくなって交流に発展するものなんですね。

(ニューコアラ事務局長・尾野徹)

※ 掲載内容はコンテンツ制作当時の情報です。