電脳迷宮

<5回目>SF小説

未来はネットワークに

■空から降ってきた
僕とコンピューターの出会いは古いんです。
小学校六年生のときに、SF小説でファーストコンタクト済ましてしまっちゃったんです。何しろ、宇宙旅行にはコンピューターがなくっちゃロケットの運転さえできない状態だったし。で、ごく自然に受け入れちゃった。
それが、中学生、高校生って大人に近づくにつれて遠のいていってしまったけど、ある日突然空から降ってきた。
九大工学部正門前の下宿で、薄暗くなった夕方、ドッカーンという突然の大音響と大地響きに腰を抜かさんばかりに驚いたんです。
何事か! と、窓を跳ね開ければ、校舎の向こうにすごい火柱が上がってる。何かの実験の失敗か? と思いつつも、皆と同様に走り駆けつけると「アメリカ軍のジェット機が落ちた!」ですって!

■久方ぶりの再会に
えーっ、と驚きつつも、建設中の四階建てのビルに強烈に突き刺さって燃えさかってるジェット機を見上げるのみ。何の校舎だろう、っと思ったら「あぁ、これじゃやっと新設に漕ぎ着けた大型計算機センターもダメになるなぁ」と隣でいっている。
ふぅーん、こんな身近にコンピューターセンターがあるんだ、と、そのとき思ったのが、私の久方ぶりのコンピューターとの再会だったんです。
その事故がきっかけで学生運動がおこってしまい、学校が半年間も休講。勉強は好きな方ではないから、ただでさえ暇なところに完全に暇になってしまい、下宿で深夜TV、ジャズ喫茶でSF、というぜいたくな毎日。実はそこに次から次にコンピューターがやってきた。

■人間の友人として
人類初の月世界上陸のTV生中継。すごい。あのSFの世界をアメリカ人が現実にしてしまってる。それを支えたのがコンピューターだ、と、何度も何度もアナウンサーが言っている。ふーん、コンピューターが未来をつくるんだ!
興奮覚めやらぬとどめを、あるSF小説がさした。人類初の月世界がやっとの現実なのに、そのSFでは、地球政府の圧政に苦しむ月世界植民地が二〇七六年七月四日に独立を宣言。米国独立のきっかけとなったボストン・ティーパーティーにも似た事件があって、独立戦争に突入。
そして、そこにはヒーロー、ヒロイン同様にとっても重要な役割でコンピューターネットワークが登場。ヒーローたちにボイスメールや電子会議を提供して独立に導くの だが、そのコンピューターは人間のしもべでもないし、人々をコントロールする神様でもない、人格を表現できる人間の友人として登場してる。素晴らしい!
こんな世界に住んでみたいなぁ、未来はコンピューターネットワークの中にある!そう思ったもんです。

■米国からの招待状
それからすでに二十数年。九大出身の若田さんも宇宙に行くし。あのコンピューターネットワークをコアラとして作り上げたい、そんな気持ちが今もあるのかな?
それにしても、月世界やコンピューター未来社会という、未来を夢見させてくれるアメリカ人の想像力やビジョンを示す人間性に感心してしまう。
そのアメリカから「シリコンバレーで、地域ネットワーク運営の意見交換をしようじゃないか」と、招待状が送られてきたので、九月、米国を訪れてきた。どこもが未来社会を夢見てる。

(ニューコアラ事務局長・尾野徹)

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